pegawa's blog

昔 ピープルという ビデオレンタル屋がありました 都築さまより<a href=http://roadsidediaries.blogspot.com/2009/11/blog-post_11.html>ビデオ・スターの死</a>

ピープルとおじいさん


The Lost Weekend original trailer - YouTubeピープルは基本、若いお客さんばかりだったけど

たまには年配の方も来た。

 

あるちょっと若目のおじいさんは「ビデオを量販店で買ったのだが取り付けることができない」

と相談しにきた。

ビデオレンタルという商いがよくわからず、

たぶん町の電気屋が進化したか退化したか変化したミセヤだと

思ったのだろう。

いつものように店は暇だったので、

おじいさんの狭いアパートにおじゃまして

取り付けてあげることにした。

指定されたカラーボックスは

後ろに穴がなくて

配線がとどかないので

穴をあけてあげた。

 

おじさんは完成した配線にタイヘン喜び、

お礼にタバコ1カートンくれた。

だけど、それから2度とこなかった。

たぶん、「ソフトを借りる」という行為自体が理解できなったみたい。

 

 

 

一番思い出深いのは

あのピープルの急な階段をあがるのがやっとだったおじいさん。

もう、スフインクスのクイズのように

杖ついて3本足で歩いていた。

 

基本、いつもアダルトのものをお買い上げ。

「子豚のようにマルマル太った年配のお方」

がお好み。

なんて優美でインテリジェンスなジェントルマンなんだろう!

 

なんだかんだで色々あり、結構近かったジェントルのお宅に時々おじゃますることもあった。

たぶん最初は、やはりデッキのとりつけだった様な気がする。

思った以上に知性溢れる、書物の山のお部屋だった。

その雰囲気とちがって、いつもアダルトなものを所望であったが。

 

ある日そのかたから

『失われた週末』

失われた週末 [DVD]

はあるかと、問われた。

珍しい作品を聞くなあ~

と、届けると。

後日

タイヘンな感謝の言葉をいただいた。

 

どうも友人の文学者?が探していたらしい。

ということは、ジェントルも文学者?

 

まあ、その謎はわからずじまい。

その後、近所でばったり、

ジェントルの夫人にお会いした。

「お久しぶりです」と挨拶をしたが、

最初わからなかったようだ。

お伺いした時には、ほぼ顔を合わせる事が無かったので

無理もない。

が、「あの、夫にいつもわいせつなものを調達するヤツ」だと 

と思い出してくれた様だった。

そして、彼が天に召されたことを教えてくれた。

ジェントルはそうとうピープルを

気に入って、大事にしてくれていたらしい。

嬉しかった。

線香の一本でも供えたかったが

夫人は決して家に招いてくれることはなかった。

まあ、わいせつ仕度係であるから

いたしかないであろう。

因果応報。