pegawa's blog

昔 ピープルという ビデオレンタル屋がありました 都築さまより<a href=http://roadsidediaries.blogspot.com/2009/11/blog-post_11.html>ビデオ・スターの死</a>

バンドのこと 2


神聖かまってちゃん 「ロックンロールは鳴り止まないっ」 PV - YouTube

 

初ライブは無事終わった。
ような気がする。

後頭部に鈍い痛みを覚えながら(前回参照・・・)、
僕は日々の高校生活をノンベンダラリとおくっていた。
当時は無為でヌルいダメな日常のような気がしていたが、
大人になって世知辛いレンタルビデオ屋稼業を過ごした今考えると、
働かなくても衣食住の心配がなく、
そのうえ未来の希望だけはやたらとある黄金の日々だった・・・。

江川バンドは軽音バンドらしく、
学校にて週2ぐらいのペースで練習していた。
今考えたら、防音もなにもなかったなあ。
いくらヤマハのしょぼいギターアンプでも、
ローランドのちゃちいキーボードアンプでも、
グループサウンズの時から使っていたであろう化石みたいなPAシステムでも、
けっこうな爆音だったんだけど。
その上、ギターは当時出たばかりのBOSSのディストーションとかもかましていて、
やかましいことこの上なかった。
先輩はちょっと安いビッグマフとか使っていて、さらにやかましかった。

今の高校軽音部もそうなんだろうか?
あんな騒音を、放課後垂れ流す・・・。
軽音部の練習の音漏れは、ちょっと離れた剣道部の部室まで聞こえてた。
「あ、また『スモーク・オン・ザ・ウォーター』・・・」

ダラダラ練習しながら、
その後2回ぐらい軽音部室(美術室だけど)でのライブに出たのかなあ。

そんな日常になっていたヌルいロックンロールハイスクールに嫌気がさした僕は、
学外での自主ライブを企画した!!
場所は吉祥寺ヤマハ
そう!
シンセサイザースクールに通っていた場所!

主催は僕なので、江川バンドも当然出演!
今度は前回の反省をふまえ、僕は最初からボーカルに専念・・・
いや、カシオトーンの小さいヤツにディレイとフランジャーをかけてちょっと鳴らした、
ような気がする。
レパートリーは相変わらず、P-MODELとザ・スターリン
ちなみに企画団体名は「天国プロダクション」!!!
P-MODELのアルバム『Perspective』1曲目『Heaven』にちなんでいる。

ロックは恥ずかしい・・・。

おまけに、当時流行っていたカンカン帽を被っていた1980年代前半・・・・。

江川バンドに飽きたらなかった僕は、あろうことか別のユニットを作って、
そのバンドでも出演する事にした。
江川バンドのデビュー戦を応援してくれてたI君がギター。
ベースとドラムはその友達、A君とB君。
オリジナルを作曲もした。
ベースをビンビン鳴らしてちょっと考えただけだったけど。
でも、コピーよりも簡単でおもしろかった!
まあ、こっちでも基本僕は歌うだけ。

一緒に出たのはRCのコピーバンドと、
やはり当時軽音で流行っていたカシオペアのバンド。
お楽しみ?として出演者によるセッションで、
ゴダイゴやシブがき隊、キャンディーズのカバー大会なども企画した。
僕はゴダイゴとシブがき隊担当!

そんな、お楽しみ会まるだしの企画!
なんと入場料も取った!
500円だけど。
でも、けっこう売れた!
会場費と楽器レンタル代で全部消えたけど・・・・。

デヴューの反省を踏まえ、僕は過激なアクションは控えた。
というか・・・まだ首が痛かったのである・・・。

楽しかったなあ~。

その楽しいロックバンドを、人生も後半にさしかかった今でもやっているとは、
17歳当時の僕は考えてもみなかった。

ロックンロールは死ぬことができない!

バンドのこと 1


Devo - [I Can&#39;t Get No] Satisfaction (Video) - YouTube

 

しばらくビデオ屋稼業の苦労話が続いたので、ちょっと休憩してバンドの話でも。

がっつりロック(テクノ)にハマった中坊が高校に入ってやりたいことと言えば、
それは当然バンドに決まっている。

一応、高校では剣道部に所属していたが、そんなに熱心に打ち込んではおらず、
強くもなかった。
あまつさえ竹刀を横にして、
つるでギターを弾く真似事をする様な不真面目な部員だった。
でも、イマドキの剣道部員も絶対やってるはず!

そう言うわけで、僕はかけもちで軽音楽部と放送部に入部した。
ヤマハ音楽スクールにも通った。
ただし、シンセコース。
ほかの生徒は場違いな中年男性で、初日から彼に
「ドはどれですか?」
と、聞かれるような初心者向けの教室。
それでも半年通って、シンセの音の出し方、音の作り方をほぼマスターした。
シンセ(ヤマハのCS30!)も買った!

よしバンドだ!!!
と・・・・思ったが・・よく考えたら音の作り方を覚えただけで、「楽器」はまったく弾けない・・。

シンセ教室の先生が、

ブルーノート・スケールと沖縄音階(なんで?)だけは教えてくれたけど・・・。
それも片手弾き、当時のシンセは基本的に単音しか出ないので・・・。
妹のエレクトーンで鍵盤の練習も試みたが、なぜかいつも、
リズムボックスをかけっぱなしにして自動アルペジオを鳴らし低音をうならせているうちに、
結局キャバレー・ボルテールごっこになってしまうのだった。

だが、めげずにギターにもチャレンジ!
友達にアナーキーの楽譜とレスポールを借りて、家で練習してみた。

コードが分からなかったので、

妹の持ってた『平凡』や『明星』のギタータブ譜のフォームを見ながら。

しかし!フォークギター用だったのでサッパリ!
おまけにチューニングというものを知らなかったので、音程もサッパリ・・・。
3日坊主どころか、2日であきらめた。
よく言われる「指先が痛くなる」段階にすらならなかった。

それでもめげなかった!
見る前に跳べ!
僕は楽器を覚える前に、とりあえず友達集めてバンドを組んだ!!
バンド名は安易に「江川バンド」!
軽音まるだし!

コピーした曲はP-MODEL、ザ・スターリン、あとRC?
そして、なんと言ってもセックス・ピストルズの『アナーキー・イン・ザ・UK』!

ギターはS君。

一緒にザ・スターリンの「トラッシュ」買いに行って、

僕がジャケにビビッていて買うのを怯んでいたら
「飽きたら売ればいいじゃない!」
と言って後押ししてくれた(感謝!)。

でも、好きなのはジェフ・ベックとかの正統派で、

実はザ・スターリンP-MODELも嫌いなのだった。
なんで僕とバンドをやってくれたんだろう・・・。
今でもわからない。
僕が選ぶ曲をことごとくけなしていたが、

さすがジェフ・ベック好きだけあってパンク程度は完全コピー!

まあ、そんなにうまくはなかったけど。

戸川純好きのKさんがキーボード、ゴダイゴ好きのSちゃんがベース、

ドラムはU君、角刈り理系。

そして応援、乱入のI君!
僕にサブカルを教えてくれた友達だ。
本人ギターバカウマ!
なんでギター弾いてくれなかったんだろう・・・。

僕はドラマチックスベースラインをバンドに持ち込んだが、

すぐに熱暴走して全然役にたたなかった。

あんなに重かったのに・・・。
大好きなシンセも持ち込んだが、弾くの忘れていた・・・。

あ、イシバシ楽器製のシンセドラム(高橋幸宏が使っていた銀色の奴)も持ち込んだけど、

アンプがなくてこれも持ち込んだだけに終わった。

楽器レンタル業者か!

結局、ボーカルに専念することになった。

ある土曜の昼下がり、軽音部部室だった美術室で開催されたライブでデビュー!

カシオペアのコピーバンドが『アサヤケ』、

レッドツッペリンのコピーバンドが『胸いっぱいの愛を』等を演奏。

そして僕ら!
たしか一曲目は『主義者』!
当然、滅茶苦茶な演奏だった。
・・・と思う。
無我夢中でよく覚えてない。

ただ、最後の曲『アナーキー・イン・ザ・UK』のラストで、西川のりお師匠のギャグ
ぼん!ぼんジャございませんか!!!!!!!!!!」
を絶叫しながらのバク転!したのだけは記憶している。

前の日にカフェバーで見た、

DEVO壇蜜も好きらしいね)の『サティスファクション』のビデオクリップのマネがしたかったのだ。

そして、気がついた時は、保健室にいた・・・・。

でも、死んでもマイクを離しませんでした

レンタルビデオ物語 その20


リザード TVマジック - YouTube

 

 

2002年、正月。
僕はテレビの取材を受けていた。
出没!アド街ック天国』笹塚特集!
雑誌の取材ならそれまでも何度かあったし、

ビデオ作品や写真撮影のロケなどでお店を使わせた事もあったけど、

レンタルビデオ「ピープル」がテレビの情報番組で紹介されるのは、

たぶん、初めてだったと思う。

数回にわたって行われた制作スタッフとの打ち合わせもスムーズにいき、

僕が当時抱いていた、異常とも思える『噂の真相』仕込みのマスコミ不信も薄れ、

撮影ではやわらかい表情になっていた!・・・と、

自分では思う。

番組のランキングは、今でもHPに残ってる。
放送日は2002年1月26日の土曜日。
29位という、30位内ギリギリの順位だった。
一覧を見てみると、「ピープル」を初め、半分ぐらいの店がもう無いなあ~。
で、たった5秒ほどの放映が無事終わった。

次の日、いつものように5分ほど遅れて店につくと・・・・
信じられない光景が!

なんと店の前にお客さんが並んでいたのである!
ビックリ!
で、1日中押すな押すなの大盛況!
それも、初来店の見たことない人だらけ!
日曜午後をのんびりダラダラ過ごそうと思って店に来た常連さんたちもビックリ!
まあ、一番驚いたのは僕。

あんな5秒でこんなに!
いくら笹塚特集とは言っても!
「マジで恋する5秒間」!

来てくれた方たちは、口々に
「前々から、気になってたんだよ!この店!でも怖くて!しかし普通のビデオもあるのね」
と、けなしているのか褒めてるのか、さっぱりわからない賞賛(?)の言葉を投げかけてくれた。

この日だけで、僕が店の経営を受け継いで以来初めての30人の入会!!
これを境に売り上げアップアップでウハウハ!と、

夜ニヤニヤ笑いが止まらなかったのを覚えている。
確か、その日の売り上げ握り締め、前祝いとばかりに焼肉にも行った。

しかし・・・・・。

当然というかなんというか・・・。
次の日のオープン時はダレもいなかった・・・。
張り切って開店10分前に来たのに・・・・。

店を開けても、前のようにサラサラと時間が流れる音しか聞こえなかった。

巨大マスコミ 栄光と影。

レンタルビデオ物語 その19


Rage Against The Machine(How I Could Just Kill a ...


前回、インターネットのこと書いていて思い出したのだが、
そういえば「ピープル」にはずいぶん前からコンピューターがあったんだ!

僕は、一時期店を辞めていたというか無断欠勤をし続けていたというかそういう時期があったのだが、
エスケープから復帰してみたらそのブツはあった。
電子の力で、顧客を管理するマシーン。
その名も「電子レジ」!
まあ、そんな名前で呼んだことは一度もなかったが。

顧客情報を打ち込んで数字で管理。
商品情報も打ち込んで数字で管理する。
バーコードを読み取って、レンタル情報を顧客番号と商品番号で入力する。
と、文字で書くとタイヘン分かりづらいが、要するに、レンタルビデオ店に特化したPOSシステムである。

前世紀のオハナシなので、画面は白黒!
正確には文字は緑。
基本表記はカタカナ!
常にガチガチ言ってる。
たぶん、リレー回路とか入ってたんじゃないかな?
真空管はなかったが。

オマケに、記憶媒体はフロッピーディスクだった!
それも最近まで流通していた3.5インチ2HDタイプじゃなくて、
シングルレコードとLPレコードの中間、変形20センチシングルぐらいの大きさのブツ・・・
と、言ってもヤングにはなんのことだかさっぱりだと思うが、とにかくデカかった!
そんなにデカいくせして、今の携帯の1万分の1の情報量も入らないというコストパフォーマンスの悪さ!
(今調べたら、「8インチフロッピー」という一番古いタイプのブツだった。
あんなにデカかったのに、なんと128キロバイトしか容量が無かったらしい…)
『電子レジ』にはその巨大フロッピーのスロットが2つもあって、同時に動いているっぽかった。
たぶん、どちらかがどちらかを補完しあうバックアップ体制だったのであろう。
そいつが、つねにガチャガチャ言ってる!
旧ソ連ソユーズロケット並の万全さ!
で、ちょっと具合が悪くなると、お助けソフトのフロッピー
(今でいうところのユーティリティーソフトだったんだろうな~)を入れてガチャンガチャンやる。
夜中、店を閉めて、レジの電源落とすと、そいつは一日のデータ整理を始める。
ガチャンガチャン。
一回、2時に店を閉めた後に飲みに行って、
明け方7時に忘れ物があったので店に帰ってきたら、まだ整理してやがった!
たぶんあいつ、3時ごろはコーヒー飲んだりタバコすったりしてサボってたんじゃないか?

そんな愛いヤツであったが、新世紀になる前にぶっ壊れた!
1回ぶち壊れたときは正月でメーカーに連絡出来ず、
しょうがないから昔の伝票引っ張りだして対処した。
2回目に壊れた時は、電話したらメーカー自体が潰れていた・・・・。
そういえば、プリペイドカードマシーンもそうだった・・・。
そう、プリペイドカードも、導入当初は磁気カードを使っていたのだ。テレカみたいなやつね。
今考えると、『ピープル』って結構ハイテクだったよなあ~。

電子機器のメーカーは当然のように潰れ、
100万円単位のマシーンは当然のようにクズになる!
「ピープル」のレジも、数十キロもある本体は怒りとともにスクラップ!
レジはお金を入れるとこだけ残し、
工夫して紐を引っ張ると開くようにした。
その後、中古で譲ってもらったマッキントッシュ(たしかパワーマックだった)をその上に置いた。
当然、顧客管理になんか使わない!インターネットやるだけ!

まあ、「電子レジ」って、デカくて大げさなシステムの割には、
長~い延滞者のリストを出すのが得意なだけだった。
それも、機械のくせにかなり間違えてたし・・・・。
その後の商品管理、顧客情報管理はずーっと、紙!
プリペイドカードも、紙のカードにパンチ穴あけるスタイル!

レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン

レンタルビデオ物語 その18


Kraftwerk - Computer-World - YouTube


1999年!
ノストラダムスの予言によると、世界が滅びるはずだった年。

笹塚、幡ヶ谷の商店街が、『ささはたドットコム』ってサイトを始めた。
で、インターネットなんてさっぱりわかんなかった僕も、早速参加することにした。
サイトには店の紹介も載っていて、その紹介写真の中の僕はメルトバナナTシャツ
(当時、メルトバナナのドラマーだったスドウくんは、ピープルでバイトしていたのだ)を着用。
商店街が、こういうウェブサイトを立ち上げる事は当時としては珍しく、
日経トレンディ』(2000年7月臨時増刊 特集「ネットビジネス本命はこれだ」)

にも掲載された。
その特集記事で紹介されている僕は、ガジのTシャツを着用。

記事によると
「レンタルビデオ ピープルの江川さん ネットにはパソコンではなくドリームキャストで接続」
と、ある。

そう!『ドリームキャスト』!!

インターネットをやってみようと思い立ってはみたものの、
それがいかなるものかさっぱりワカラナカッタ僕は、
お客さんに質問しまくった。
そう、僕にとってはお客さんがインターネットみたいなものだったのである。
そのマイ・インターネットで仕入れた情報によると、

ゲーム機なのにネットができるマシーンがあるらしい!
それが、『セガ』の『ドリームキャスト』!
本格的なパソコンはまだまだ10万以上はする代物だった時代に、

なんと1万円代でそのブツは買えた!
僕はゲームは当時一切やってなかったのだが、

ネット接続目的で『ドリームキャスト』を購入した。
あと、キーボードと文字入力ソフトも。
キーボードも高校時代にプログラミングをちょっとかじった時以来、触ってない。
タイピングはもちろん初めてだったが、ゾンビを殺すタイピング訓練ソフトで、

ブラインドタッチを習得した!

で、インターネット環境を手に入れた僕は、『ささはたドットコム』の掲示板に、
頼まれてもないのに毎日毎日ミニコラム『今日の一本』を書き込んだ。

「ハイパーなサスペンスです。そのキテレツな内容は「ツインピークス」をグツグツ煮込んで、
ロスト・ハイウェイ」を振りかけたようです。
その2作が好きな人は必見です。 幸せな時間が過ごせること、うけあいです。
 デヴィッド・リンチ監督自らが手がけた、サウンド・デザインは耳の奥にこびりつきます。
 ナオミ・ワッツ、ローラ・エレナ・ハリング、ジャスティン・セロウ<
>マルホランド・ドライブ<>2001<>デヴィッド・リンチ<>アメリカ」

ってな具合に偏った情報を発信し続けていたら、
そのうち、『ささはたドットコム』を運営していた人が、
ご好意でサイト内に僕の『今日の一本』をまとめたサイトを作ってくれた。

先の『日経トレンディ』特集記事中で僕(しつこいようだがガジのTシャツを着用)は
「途中下車して寄ってくれるお客さんが増えた。レンタルビデオ業界が3割減といわれるなかで、うちは1~2割の売り上げ増」
などと得意気に語っている。
・・・が、実はこれは大嘘だった・・・・。
現実世界ではそれほどの影響は無かった。
まあ、ネットを見てきてくれる人もいないことも無かったのだが、
実際は僕が発信する『偏ったマニアックな情報』と、
まだ規模が小さいインターネットユーザーの趣味とが合致することはほとんどなかったのだ。
が、とりあえずの義務感として、毎日毎日書き込んでいた。

それより、同じく趣味の偏った『映画秘宝』という雑誌のウェブサイトの掲示板に書き込むほうが楽しかった!
まあ、売り上げには繋がらなかったが、少なくとも反応はあった。

でも、当時インターネットをやっていて、一番印象的だったのはバスジャック!!

2000年のゴールデンウィーク
公休だった僕は、友達数人と昼間から酒盛りをしていた。
なぜかインターネット見ようとなって、カチャカチャやってたら、ネット上ではあの「ネオむぎ茶」が大いに話題になっていた。
僕らは、殺伐とした書き込みをボンヤリみていた。
ドリームキャストがテレビに映し出すフォントは、子供向けのかわいらしい文字なので、いっそう殺伐が際立った。

空っぽネット。

レンタルビデオ物語 その17


おかあさん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました - 遠藤ミチロウ - YouTube

営業努力の一貫として、チラシも作った。
競争社会のこの世の中、そのくらいしなくては、ビッグマネーは掴めない。

「店が狭いからウロウロしなくて大丈夫!」
ってナイスなコピーを思いついたが、
前の『キングコング』の件もあるので、おとなしくいこうと思った。
「比べるとトクする」
という凡庸なコピーだったような・・・。
前からあった、プリペイドカードという名の
「まとめて前払いしてもらうと一本あたり安くしますよ~」
的な回数券の宣伝である。
450円のレンタル料金が、最高で250円まで安くなる!
まあ、100円レンタルが主流になったこのご時世では屁でもないだろうが、
当時としてはかなり破格だった。
あのころは、500円前後が主流だったのである。

あと、我が『ピープル』は薄暗いビルの2階にあり、
どういう商売をやっているのかよくわからない印象を人々に与えていたようなので、
とりあえず世間に
「ビデオレンタル屋さんですよ~」
って伝えたかった。
いろいろ過激なことで知られる『リアル』ってバンドの人と仲良くなった時
「笹塚よく行くけど、あの2階のレンタル屋みたいのが恐ろしくって・・・」
って言われたり、商店街の寄り合いで知らない人から
「あの2階の店は悪の巣窟らしいですね~」
と言われたりして
「僕の店だ」
と言い出せなくて困るのを解消したい!という思いもあった。

チラシではまず見ないオレンジ色で印刷して目立つようにし、とりあえず2万枚作った。
「お店の宣伝だろうとライブの告知だろうと、チラシは小さいほうがいい!」
という、理由は本人にもよくわからないのが持論の僕は、文庫本よりちょっと大きめのサイズにした。

近所の新聞屋さんに折り込んでもらったところ、爆発的な威力こそなかったが、
知った人にプリペイドカードが売れて嬉しかった!

で、調子に乗った僕は、町中に貼ってやろうと画策。
夜な夜な、店からの帰り道に、両面テープをつけたチラシを電柱に貼り付けていった。

ある夜、街灯の薄明かりの下でいつものごとく貼り付け作業をしていると、
道のちょっと先で男が仁王立ちしている。

当時の笹塚は、夜中に堅気の人がウロウロしているような町ではなかった。
泥酔
(これ今入力していて気がついたけど!
「でんすい」じゃなくて「でいすい」なんだ!よくこの状態になるけど、
読み方間違えてた!泥酔するはずだ・・・・)
したヤンキーがいて
「おい!ちょっと待てよ!ケンカしようぜ!」
とビーバップ的事態になりそうなことも時々あったので
「三十六計逃げるにしかず」
と思い、ピューと消えようとしたら
「おい、ちょっとまて!」
と、追いかけてくる!

「しつこいヤンキーだなあ~」
と、薄明かりの下でよく見ると、
なんとデカイ、がきデカ
あのボウシ制服!
そうです、国民の生活を守るおまわりさんという名の暴力装置
「ああ・・とうとう留置の世界・・・おかあさん パンツの履けない留置所は寒いです」
と、いろんなことが交錯。

首根っこ捕まえられて、手をねじ上げられ、手に縄!

なんてことはなく・・・

「ダメじゃない、チラシなんか張っちゃ!
 どうせ風俗かなにかでしょ・・・
 あれ?あの2階のレンタルビデオ屋!?
 知ってる知ってる!
 よく借りに行くよ!
 覚えてない?俺?
 ○○子ちゃんのファン!
 いいねえ~アノ子そろってて!」

なんのことはない、装置といえども人の子、アダルトビデオのファンだったのである・・・・。
あんなボウシと制服着てるから分からなかったけど、

その顔はたしかによくお店に来る無口なガイであった。

そのあと、いかに自分がアダルトが好きか!
で、どういうシチュエーションが好きか!
で、これからの仕入れの指針!
で、なぜか自分の装備品のいいところ!
で、それを自前で買ってること!
で、手袋は特製なこと!
で、ベストはクサビカタビラなんだけど、上司にいい顔されないこと!
で、おまわりさんも命が惜しいから重くてもそれつけてること!

なんて・・・ホントどうでもいい話を一時間たっぷり道端で聞かされてようやく開放・・・・。

それから数日後。

くだんの暴力装置
「おまわりさんになんかおもしろいのないかなあ~」
などと鼻歌交じりに言いながらやって来たので、結局何本か、

賄賂として無料で貸すことになった・・・・。
東映映画『県警対組織暴力』や『リーサルウェポン
などを選んであげた。
当然アダルトも!

で、彼はまた新しい警棒を通販で買ったらしく、その自慢話もまた小一時間。
結局ビーバップポリス。
たまたま僕が着ていたTシャツの横文字を彼は読み上げた・・・
「『コップ シュート コップ』ねえ・・・」


バカらしいから、それ以来、もうチラシはつくるの止めた。

 

なにか質問が?

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レンタルビデオについて、なにか質問があったら よろしくです。

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